【報告】hands-on time.3 お話・大西暢夫さん 開催しました。

「ひとりひとりの人〜僕が撮った精神科病棟」
お話&スライド 大西暢夫さん
 11月2日、ハンズオンタイムvol3として、さいたま市在住の写真家・大西暢夫さんのお話会を、埼玉トヨペット本社のショールームで開催した。(参加者27人)
 大西さんは、精神科病棟で出会った方、ひとりひとりについて丁寧にお話してくださった。「精神障害者Aさん」ではない、ひとりの「○○さん」との対話のエピソードの数々。私は、スライドを見つめながら「へえ、そうなんだ〜」と話に聞き入ってしまった。
 入院歴28年間の小林さんが、自分の存在を家族が消し去ってしまい、父親の死に目にも会えなかったと語ってくれたという話。出雲大社の近くで入院生活を送っている岩槻さんが、インタビューの時に、いきなり『オイ、鉄格子の部屋に入ったことある?』と言って、実際に大西さんが入ってみた話。言葉をしゃべることのできなかったみつさんが、帰り際、小さな声で『ありがとう』という言葉を発するという奇跡が起きた話・・・などなど。
 時には、胸が詰まってしまうような悲しいエピソードもある。でも、大西さんとの出会いがなければ、もしかしてその悲しみすら誰にも話さずに生涯をすごしていたのかもしれないなと思う。「単調」という言葉では表現しきれない、人間としてあたりまえの会話すらない精神科病棟での入院生活に、大西さんは、緊張感と世間話をもちこむ。取材を通して、非日常が生まれ、そこに風が吹く。
 大西さんは言う。
「世間話をする中で、精神障害者である以前に、普通の人だなって思う。障害といえば障害かもしれない。そういう人たちが世間の中で堂々と生きていく場所は、今はむずかしいと思う。でも、あたりまえに過ごせる場所ができてほしいなって思う。(写真を)数をどんどん撮って、とにかく見せていきたい。それしか僕にやる方法はない。」
 思わず眺めていると、ニンマリ笑ってしまうようなユーモラスな『ひとりひとりの人』の写真たちに囲まれてのお話会は、いろんなことを感じることができた素敵な時間となった。貴重なお話をしてくださった大西さん、協力してくださったトヨペットの渡辺さん、このお話を共有することができた参加者のみなさん、ありがとうございました。(若尾)

追記:
 余談を1つ。大西さんやハンズオンのスタッフの友人のおゆうさんが、コスモスの花を持ってかけつけてくださった。それは、決して豪華ではないけれども、うっとりするぐらいきれいで、受付を担当していた私は途中、ついつい花に見入ってしまった。後で、おゆうさんから聞いた話だが、「私の友人たちが大事な会をするから、お金はないけれど、何かしたいから」と、職場の仲間に相談して近くのコスモス畑で摘んで、いけてくれたそうだ。なんだかうれしくって、とってもあったかな気持ちになりました。

●お話してくださったカメラマン・大西暢夫さん
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2005年11月10日

投稿者 hands-on

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