ハンズオン埼玉理事の西川正が、新しい本を出します。
2017年刊『あそびの生まれる場所』(2019年度生協総合研究所特別賞受賞)の続編です。
どんな時に、人は何かをしようと思うのでしょうか?
どんな時に、その時間は、楽しかったとふりかえることができるのでしょうか?
試行錯誤の記録と全国の事例から考える「あそびの生まれる時」についての探求の書です。
ぜひ、ご一読ください。
書籍は、2月26日に出版されます。刊行されしだいお送りいたします。
◉定価:2200円(税込み)
◉送料無料です。
アマゾンの発売は3月の上旬(日にち未定)です。
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(「はじめに」より一部抜粋)
2017年に、前著『あそびの生まれる場所』を書いた。
この本のサブタイトルは「『お客様』時代の公共マネジメント」とした。生活がシステム・市場経済に覆われ、「お客様」となった私たちが自由を失っていく構造について考察した。そして、対話による自治が、自由に生きるための唯一の道なのではないか、公共とは人々の対話の中から発生するものではないか、と問題提起をした。
この本の末尾に、こう記した。
必要なのは、「一緒につくる」こと。
そうすれば、結果がうまくいかなくても、そこには、信頼が生まれている。
その信頼は次の「何かしてみよう」という気持ち、すなわち「遊び」を生み出す。
「何かあったら困るので」は「何かあっても、大丈夫」に変わる。
この「一緒に」はどうすればつくることができるのか。
それが本書のテーマだ。
前作は、「場所」をキーワードとしたが、本書では、「時間」に注目している。
あらためて言うまでもなく、私たちはいま、結果のみを重視する社会に生きている。最短で結果を出すことを求められ、自分たちなりの模索=失敗が許容されなくなった。みんなでわいわいと試行錯誤する時間を持つことが難しくなった。
しかし、この結果に至る苦労と工夫こそが「遊ぶ」ということなのだ。
「私がこの場の当事者である」と思える、そんな場や組織はどうすればつくれるのだろうか。
活動終了時に「やってよかった」とふりかえることができる活動(時間)と、「もう二度とやりたくない」という負担感・忌避感を持つ活動(時間)の間に、どんな違いがあるのだろうか。
遊ぶ、すなわち「何かをしてみよう」と思えること、人の気持ちがあたたまっていくには何が必要なのか、どんな環境を用意すればいいのか。
私自身のささやかな経験と、全国各地で展開されている実践をもとに考察した。
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<もくじ>より
第1章 〈遊ぶ〉は〈あそび〉から
1〈もちより〉から生まれる
(1)「あなたの好きを教えて」
(2)「問い」はひとつ。「答え」はそれぞれ
(3)「お客様」のいない場づくり
2 〈遊ぶ〉は〈あそび〉から
(1)〈遊ぶ〉と〈あそび〉
(2)〈安心〉から遊びは生まれる
(3)「うまいねー」と「いいねー」
(4)「あの子」が話す理由
(5)答えのない授業
3「たのしい」が生まれる環境とは
(1)「おもしろかった!」の理由
(2)〈工夫の力〉と〈工夫の余地〉
(3)ボランティアコーディネーション
(4)地縁組織はなぜつらいのか
[コラム1]手紙
第2章 「負担感」の研究 do-ingからdoingへ
1「負担感」の正体とは
(1)負担感を数式であらわすと……
(2)負担感を減らすには88
(3)「ずるい」の発生源
2 do-ing動員からdoingへ
(1)活動の評価とは
(2)ほんとうの平等とは
(3)「みんなで」再考
(4)「正しさ」と「楽しさ」
[コラム2]哲学対話
第3章 「ともに」が生まれる時 リスクと対話
1 リスクと対話
(1)リスクマネジメントの基本
(2)「やめておこう」と「やってみよう」
(3)「やってみよう」になる時
(4)「わいわい」「あーだこーだ」の価値
(5)「俺の五輪」になってしまった理由
2 自分の言葉で〜コロナ禍の自粛から考える公共の場
(1)コロナ禍の2つのリスク
(2)開き続ける判断をした施設
(3)自分の言葉で揺れる
[コラム3]スマホ相談会
第4章 「新しい」生活様式コロナ禍をこえて
旅する授業 …… NPO法人みんなのおうち東京都新宿区
PTO …… 嶺町小学校PTO東京都大田区
放課後カフェ …… ほっと@放課後かふぇ東京都小金井市
旅の醍醐味は道中にあり
もちより音楽cafe …… 戸倉公民館長野県千曲市
中学校の赤ちゃん …… 子育てひろばひまわり京都府舞鶴市
翔んでさいたマスク
オンラインよりあい…… よりあい*ええげえし埼玉県坂戸市
お茶くじ …… 上町しぜんの国保育園東京都世田谷区
大人の悩み相談室 …… 田無一中@放課後カフェ東京都西東京市
わいわい広場 …… PLAYFUKUOKA福岡県福岡市
和氣藍々 …… 篠路まちづくりテラス和氣藍々北海道札幌市
嘘 …… アトム共同保育所大阪府熊取町
一箱図書館 …… 真庭市立中央図書館岡山県真庭市
[コラム4]贈り物
第5章 「自助、共助、公助」再考
1 「共助」にしかできないこと
(1)「おまえが何もしないからボランティアがやってるんだよっ」なのか?
(2)「これが地域のおばちゃんの私にできることなんですよね」
(3)人として見えてくることの意味
2「共助」と「公助」
(1)贈与としての共助
(2)共助を支援する前に
[コラム5]山伏修行
第6章 for(ために)からwith(ともに)へ 「子どものために」からの転換
1 子どもが主役?
(1)大人がつくる子どもまつり
(2)「有志でできることからやればいい」
2「主導権」の視点で子どもの時間を考える
(1)「子どもの時間」のこれまでとこれから
(2)自由の感触を得られる時間を
3 大人が子どもの傍らにいることの意味
(1)「支援する」とは何をすることなのか?
(2)チョコのない行事はしない
(3)「子どもの自治には3年かかる」
(4)放課後に子どものとなりに大人がいることの意味
4 for生徒からwith生徒へ
[コラム6]車椅子
あとがき